アイアムじゅんこの「そこにおすわり！」vol.3
DJの西村愛さんに座ってもらいましたー

愛＝西村愛さん
じゅ＝アイアムじゅんこ

じゅ：いくつになったの？って会うたびに聞いてる気がするけど…笑。

愛：2*歳です。

じゅ：うわー！

愛：もうすぐ（出会って）10周年じゃないですか。

じゅ：びっくりやわ。きゃーって感じやわ。今（取材した3月末当時）、ラジオは週3？

愛：えっと3月まではラジオ関西（老舗独立系AM局。日本初の電話リクエスト番組を始めたことでも有名）で週3です。「西村愛のミュージック研究会」と、私が選曲、構成、DJ全部担当した「ららら歌謡曲」。それから関西のAM5局が新人さんの注目曲をパワープッシュする「マンスリーAミュージック」っていう番組です。

じゅ：この前、たまたま千綿偉功（ちわたひでのり・弾き語りのミュージシャン）さんのブログを見てたら、愛ちゃんの番組でコメント流れるって書いてあったのね。

愛：そういう意外なところで名前見つけてもらえるのはすごくうれしいですね。ラジオ関西で仕事するようになってから、じゅんこさんがオススメの千綿さんとかいろんなミュージシャンの方にお会いしたりしてて。

じゅ：それはちょっとうらやましいかも。そしたら、DJになろうと思ったきっかけから教えてくれる？

愛：私がDJをやりたいなって思ったのは、リスナーのみなさんと一緒で、いつもラジオを聞いていて、いろんな音楽を知るじゃないですか。それでライブに行くようになって、こんなに素敵な人がおるんや！ってなって。それなのになんでこの人、「Mステ（のような全国放送の歌番組）」に出てないんだろうと思って。

じゅ：まだ世の中のしくみがわかんない頃や…。

愛：そう。それやったらもっとその音楽を広めたいし聞いてもらいたいし、DJになったら自分で紹介できるんじゃないかと思ったのがきっかけでした。それと、勇気を出してラジオに初めてリクエストしたときに、DJの方がそのリクエストを読んでくれたのがすごいうれしくて。（リクエスト受付の）オペレーターさんとの会話も楽しくて、それ以来リクエストをするようになったんです。それである時、Daily-Echoっていう二人組がいらっしゃるんですけど、彼らを知ったのもラジオがきっかけで、その二人がラジオにゲストに出たときに、FAXに質問やメッセージを書いて送ったんですけど、うたた寝をしてしまったんですね。

じゅ：なんと…。

愛：起きたら最後の曲の終わりのほうで、「今日はDaily-Echoのお二人をお迎えしました」ってなって、えーっっっ！って。それでサイン入りステッカーのプレゼントがあったので、もう一度FAXを送って、そこに「さっきリクエストを送ったんですけど、うたた寝をしてしまって聞けなかったんです。でもステッカーが欲しいのでお願いします」って。そしたら当ててくださって。そのサイン入りプレゼントに、DJの方直筆のメッセージも同封されていて、私が聞いた質問の答えを書いていてくださったんですよ。二人もすごく喜んでましたよ、みたいなことをお返事でくださって。

じゅ：それはうれしいよねえ。

愛：そう、こんなに音楽を通じて誰かを幸せにできる仕事ってない！ DJを目指すぞ！って思ったのが中学3年のとき。

じゅ：音楽を通じての仕事っていっぱいあるけど、何よりもDJだったの？

愛：そうですね。一番身近やったし、高校進学のときにいろいろ考えたんですよ。普通科に行ってもよかったんですけど、当時は人と違うことをやりたくて、「普通」と呼ばれることがイヤだったんです。

じゅ：うわー、それすごいわかるわ。

愛：わかるでしょ…笑。世間に対する反抗心があって、将来何をしようかと考えたときに、総合学科というのがある単位制の高校に進んで、そこは自分の好きな教科が選べる学校で、まだ始まったばかりで、私が2期生だったんです。新しいっていうのもあってワクワクしたし、授業もスペイン語があったりして。

じゅ：なんか大学みたいな感じやね。

愛：そうそう。夢を見つけて、その夢に向かって進んでいこうっていうスタンスの学校だったんですよ。福祉系やったらこっち、学校の先生になりたいんだったらこっち、ってやりたい仕事が見つかると、じゃあそのために必要な授業はこれだよ、とか先生が具体的に相談にのってくれるんですよ。それで「DJやりたい」ってことをいろんな先生に言ってたら、「こいつおもろい」と思ってくれたみたいで、ある先生が紹介してくださったのがFM802（関西で一番支持されているFM局）の編成局長さん。

じゅ：すごいなあ。

愛：それでアポを取ってもらってFM802に行ったんですよ。もうドキドキじゃないですか、自分がずっと聞いてる憧れのラジオ局に行って、どんどん奥に通されるんですよ…。みんな笑顔であいさつとかしてくださって。いつも聞いてるシャーリー（富岡）さんとかマーキーさんとか（二人ともFM802の看板DJ）いて、ミーハー気分をおさえつつ奥に通されて。「高校でどんな勉強してるの？」とか「どんな音楽が好きなん？」とか聞かれて、「せっかくやからスタジオ見ていく？」って言われて。ちょうどヒロ（寺平、FM802を代表するDJ）さんが番組をしていたんです。ヒロT（略してこのように呼ばれます）さんって、ワンマンDJスタイルでやってて。

じゅ：あ、あの人は全部自分でしはるんやんね。

愛：はい。日本のラジオ局って機械を操作するエンジニアさんがいて、選曲や構成をしてキューを出す司令塔みたいな役割のディレクターさんがいて、そしてブースの中にDJがいるんですけど、もともとアメリカとかのラジオって全部一人でやるシステムなんですね。ミキサーの前にマイクがあって操作しながら、「じゃあ次の曲いきます」って言ってCDのスイッチを押してっていうスタイル。ヒロTさんは今でもずっとそのスタイルでやってらっしゃって、日本では唯一かもしれないくらい、そこまでやっちゃえる人って珍しいんですよ。最近は、ミニFMとかでは一人でやってる人もいますけど、大手のラジオ局では少ないんです。で、ヒロさんが卓を触りながら放送している後ろに座って見学させてもらって、曲の間にいろいろ話をして。すごくうれしかったし、憧れだったラジオの世界が現実的になったんですよ。それで編成局長さんにも「愛ちゃんなら（DJに）なれると思うからがんばり！」って言ってもらって。それから自分でいろんな人とつながりを作ろうと思うようになって、専門学校の体験入学でディレクターさんとかコミュニティFMを立ち上げた人とか話を聞いて、ラジオの世界がさらに身近に現実的なものになっていって。高校を卒業して進路を決めるときには、やっぱり私はラジオDJになりたいねんなってあらためて思って。でも「難しいんちゃうん」とか言われたり。うちの母はわりと応援してくれてたんですけど。でもラジオ局に見学に行ったりしたことで、「いけるんちゃうん」っていうへんな自信が出てきたんですよ。そうしたらあとは、いくしかないって感じで。いろんな人との出会いが自分の夢の原動力となって、憧れだったのがすごく近いものになっていって。

じゅ：愛ちゃんにとって出会いっていうのが、ほんまにいいタイミングでやってきてるんやねえ。

愛：そうなんですよ。振り返ってみると偶然は必然なんやなとすごく思う。昔、（大阪心斎橋の）HMVにDJさんがいたじゃないですか。

じゅ：あー、いたいた！

愛：そのDJさんに話しかけに行って、「DJになりたいんですけど。どうしたらいいですか。事務所とか入ってるんですか」とか聞いたり。そのときに教えてもらったDJさんが今の事務所の先輩だったりするんですよ。だからすべてがつながっていて、おもしろいですねえ。