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June 28, 2002
愛
いつまでも
そんなにいつまでも
むすばれているのだどこまでも
そんなにどこまでもむすばれているのだ
弱いもののために
愛し合いながらもたちきられているもの
ひとりで生きているもののために
いつまでも
そんなにいつまでも終わらない歌が要るのだ
天と地とをあらそわせぬために
たちきられたものをもとのつながりに戻すため
ひとりの心をひとびとの心に
塹壕を古い村々に
空を無知な鳥たちに
お伽話を小さな子らに
蜜を勤勉な蜂たちに
世界を名づけられぬものにかえすため
どこまでも
そんなにどこまでもむすばれている
まるで自ら終わろうとしているように
まるで自ら全いものになろうとするように
神の設計図のようにどこまでも
そんなにいつまでも完成しようとしている
すべてをむすぶために
たちきたれているものはひとつもないように
すべてがひとつの名のもとに生き続けられるように
樹がきこりと
少女が血と
窓が恋と
歌がもうひとつの歌と
あらそうことのないように
生きるのに不要なもののひとつもないように
そんなに豊かに
そんなにいつまでもひろがってゆくイマージュがある
世界に自らを真似させようと
やさしい眼差で差し招くイマージュがある
〜 谷川俊太郎「クレーの絵本」(講談社)
June 26, 2002
June 25, 2002
そうだね
器集めみたいなものかな
大きさとか数とか見た目とか
あ〜でもない
こ〜でもない
とりあえず
ちこっとマメでも乗っけておいて
あ〜でもない
こ〜でもない
器さえあれば
いつでもね
どこでもね
器がないのに
マメをおいても
食べこぼし
気づかないまま
ごちそうさま
June 22, 2002
久しぶりに太鼓を叩きに行ってきました。
山に響くジャンベの音は
よく伸びて気持ちがいい。
いろいろ練習するつもりだったのですが、
結局最後には低音だけを
どぉ〜ん
どぉ〜ん
って鳴らして、ぼ〜っとしてました。
びっくりするかと思ったけど、
蛍もずっと側にいました。
ジャンベは基本的に三つの音が出ます。
低い音、柔らかく高い音、堅く高い音。
どぉ〜ん ぽんっ かぁ〜ん
June 20, 2002
June 17, 2002
白昼堂々
往来に面したベンチに陣取って
焼酎を啜る
その他理由を装うべく
目玉は落ち着き先を探すも
当てどもなく
そうかといって
別段自意識に揺れることもなく
例によって血液経由で
おぼしめしがある
長尻になる
また啜る
暇な片方で目玉に影をつくり
人にしられぬよう
啜る
June 11, 2002
June 07, 2002
幼稚な言葉の連続
あ〜あ
僕はたろです
僕はたろさ
僕はたろだ
僕はたろなのだ
あさって目線の相槌
欠伸を隠す変な口元
「
」
研ぎあげた刃で
ゆっくりと肉を割くような
タイプライターが
恍惚と捻じ曲がるような
千人を恫喝し一瞬で凍らせるような
言葉。
カチ割った脳天から
脳漿と一緒に噴出してこないかな
ははは
弛んだ皺が産みだすのはその程度ね
猛暑の夜の蝿のやうな
がはは
ものかしらん
ぷはは
お寒いお寒い