2016年11月12日

東京へ

東京で展覧会をまわってきました。足を運んでおかないと後悔するだろう展示が、この秋東京でいくつも重なりました。かねてより単独の企画展として体験しておきたいと思っていた作家ばかりでした。僕の場合ある程度のひとかたまりで体系的に経験しないと、作品や作家に対する重要な発見が抜け落ちてしまう。見終わった今も行ってよかったとほっとしながら、微量の興奮がまだ続いています。

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杉本博司 「ロスト・ヒューマン」@東京都写真美術館
柳幸典 「ワンダリング・ポジション」@BankART Studio NYK
ナムジュン・パイク 「2020年 笑っているのは誰?+?=??」@ワタリウム美術館
クリスチャン・ボルタンスキー「アニミタス-さざめく亡霊たち」@東京都庭園美術館
トーマス・ルフ「トーマス・ルフ展」@東京国立近代美術館

*日本郵船博物館
*築地本願寺
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成田空港に到着した時、トランプの勝利がほぼ確定していたこともあり、空港から直行した杉本博司 「ロスト・ヒューマン」展の内容はより示唆的なものとして映った。アメリカ大統領選の中継は「ロスト・ヒューマン」展への最良の導入として機能してくれた。選挙の結果自体には、ここ数年twitter/facebookから距離をおいて暮らしているせいかそこまで深刻にはならなかった。人にとってセンシティブで重要な事柄が、膨大な量の「らしい」で共有される世界にほとほと嫌気がさしている。そして無自覚ながらそういう仕組みに少々加担してしまった自分にも嫌気がさしていた。ソーシャルは「らしい」を「らしい」で留めておく心のタガのようなものをいとも簡単に外してしまう。物事が発生した場所とメディア、それを通して理解する僕たちの間にはそれぞれとんでもない「距離」が横たわっていることをもう一度確認しておいた方がいいだろう。重要なのは「リツイート」や「いいね」や「シェア」ボタンをアクションすることではない、アクション後の各個人の振る舞いにある。

nakashu* 土曜日 13:42 | TB