記憶と忘れること

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WNYCの「記憶と忘れること」についてのポッドキャスト(英語)を聴いておもしろかったので、うまく説明しようと思ってやってみたけどどうも難しい。やっぱ細かいところまでわかってないからなあ。長いの書いて消しちゃった。まず翻訳ができないし。

とりあえず「思い出す」っていう行為は記憶の中にあるものを引っ張りだして見ているわけではなく、意識の中でその行為とか情報をもう一度再構築する行為らしいですよ。だから記憶は思い出せば思い出すほど変えられてしまう可能性が高くて、思い出す回数が少ない記憶ほど正確、という矛盾に陥るらしいです。

思い出すという行為の途中で間違った情報を与えられると間違った記憶が正しいものとして保存されることがあるらしいです。

で、最後のエピソードを寝床でヘッドホンつけて聴いてたらさ、「まばたきする度に記憶が消えてしまう音楽家」についての話が出てきてショックを受けました。悪い細菌が脳に入って記憶喪失になって、それと同時に新しい記憶を保存できなくなるという障害を持ってしまった男。7秒から30秒くらいで記憶が途切れる。

まばたきをするたびに永い眠りから覚めた状態が訪れる。突然知らない顔が目の前に現れる。奥さんが同じことを何回も説明している。10秒前の絶望さえも忘れる。日記を付けると、「2:10PM、きちんと目が覚めた。2:14PM、やっと目が覚めた。2:35PM、今回は完全に目が覚めた。‥‥ 9:40PMいろいろ書いてあるけれど今度はほんとに目が覚めた。10:35PM、何週間かぶりかに完全に意識が戻った。」最後のセンテンスも次のセンテンスに消されて紙にはこれが果てしなく書かれる。

日記の話が出てきたところで、経験や知識を保存できないことの恐怖で布団の中で完全に固まってしまいました。1日に何回絶望を味わえばいいのか、想像を絶する精神状態。「死んでるのといっしょだ」と言う彼の声が聞こえたときもう涙が出ました。記憶が保存できないだけで、論理的な話もできるしコーヒーも入れられるし冗談も言える。

最後に、救いとして彼が「愛情」と「音楽」を覚えていたことが発見される。病院に残された時、奥さんに何回も電話をする。「とにかくすぐ会いにきてほしい。知ってるヒトがここには誰もいないんだ」というメッセージが留守番電話に何回も(メッセージを残したことも覚えていない)入れ続ける。この連続したメッセージが続けて再生されるところでもう涙ぼろぼろですよ。

で彼は奥さんを見ると常に何年も会ってなかっみたいにきつく抱きしめてキスをする。3分前に会っていたとしても。感情的な記憶が残っていたのね(という言い方でいいのか?)。あとピアノも弾けるし合唱隊の指揮もできる。音楽が続いている間は記憶も続く。

BBCのドキュメンタリを見つけてそっちも見てみた。同じ素材をもとに作られてるみたい。

記憶は必要ってなにげなーく思ってはいたけれど、記憶って人格でありそのヒトそのものであり、時間なんですね。なんてこった。

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