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ロボピッチャー・かとうたかおのweblog

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2007年07月28日
直前!ソロライブ告知!

 うむ。
 今日ソロライブであります。
 もし本日お時間がある人で、この日記を見た方は運命だと思ってなんとかお越し下さい。
 来てくれなかったらきっと2007年中に人前で外人に道を3回聞かれるでしょう。

 しかし、あと2時間でリハだっていう段階での告知って素敵ですね。加藤さん

加藤隆生ソロ
■ 2007/7/28(土) 京都・NANO 「おなかいっぱい vol2」 
【出演】スーパーノア / 六畳人間 / valva / 加藤隆生
【時間】open 18:30 / start 19:00
【料金】前売 \1,500 / 当日 \1,800 (いずれも+drink)
【info】 NANO http://www.eonet.ne.jp/~nano2003/

kato takao** 28/7/2007 土曜日 13:57 | Link | TB (0) | コメント(0)
2007年07月20日
そして悪いニュースは続く

 夢を見てた。
 僕のままで歩いていく夢だ。
 ポケットに手を突っ込んでいる。
 背中を少しだけ丸めている。

 大切なのはスタイルじゃないぜと思う。
 結局最後にものを言うのはどれだけ進んだかだ。
 どんなに俺が背中を丸めていたとしても、大切なのは進んだ歩数であって、俺が肩で切った風の数じゃない。

 何かがあるような気がしたけれどなにもなかったと目覚めてから気づいた。
 僕らは奇跡を待っていたのだ。
 来ないから奇跡だと知りながら。
 終わりなんて認めないと認めながら。

 無駄なことなどこの世にないと告げよう。
 僕らは生き延び、歓喜の瞬間を味わい、そして息絶えた。
 進むことが意味だった。
 時間が流れることを確認しているだけだったのかもしれない。

 夕暮れが赤く染まりまた別の夜をつれてくる。
 終わり始まりまた終わる馬鹿げたカーニバルは続く。
 いつものあのハーモニカをどうか今日は吹かないでよ。
 夢が覚めちゃうから。

 神様。僕に信じさせて。信じることは強さだと。
 
 僕らが手にしたものと、僕らが失ったものはどっちが多かったんだろう。
 僕にはもう何も見えない。
 彼女に見えていたものは、どんな未来だったんだろうか。

kato takao** 20/7/2007 金曜日 06:05 | Link | TB (0) | コメント(1)
2007年07月19日
いくつかの残念なニュース

 今日はいくつかの残念なニュースがあり、残念な決定がなされた。
 仕方がないことで誰も悪くない。そもそも善悪の範疇での話ではない。
 ただ、とても残念なニュースであり、それにまつわる残念な決定だったってことだ。

 僕は人生の中でこういう残念さを過去に何度か経験している。
 多分はっきりと覚えているのは4回。 
 大学一回生のときに一度。
 三回生の時に一度。
 25歳の時に一度。
 26歳の時に一度。

 今日で五回目だ。
 たった五回ですんでるのか。もう五回もあるのか。
 まあいいや。こんなあいまいな日記を読まされる皆様の気持ちを思うと暗澹たる気持ちになる。
 
 で、一体それがなんなのかというと、先日ファーストライブを終えたばかりのユニットから一人メンバーが抜けてしまった。
 メンバーが抜けるって言う喪失感は、久しぶりに味わったけど、久々だけに骨身に染みた。
 3人で話し合いをして分かれた後、誰かと一緒にいたかったけど一人だった。

 結局誰かが僕から去っていくことに、敏感なだけなのかもしれない。
 僕は永遠を信じない代わりに、素敵な歌詞を書く能力を手にしたのかもしれない。
 いや、別にそんな大げさな話ではないか。ひねくれ者がえらそうにふるまってるだけだ。
 
 さて、ここ数日ものすごくばたばたしてた。
 あるインタビューを受け、超巨大団体からものすごく謎なオファーを受け、また別のところから大きなイベントの話をもらい、出版社から本を出しましょうといわれ、ボロフェスタのさまざまな動きをぎこちなく行い、ちょっとした会議をセッティングし、SCRAPの締め切り間際でもあるので、それもばたばたとやっつけて、新曲を二曲作って、ユニットの練習をした。ああ、その合間にキャッチコピーを6本仕上げ、いくつものテキストを書きなぐり、これで夏の終りまではまあ潤沢に生きていけるだろう。夜眠れなくて、相変わらず「デスパレートな妻たち」を見てる。夜が明けてから眠り、笑って良いともの一時間前の起きる。SCRAPの広告もいくつかもらったので、その打ち合わせに三箇所くらいに行った。それからちょっと前に提出した企画が通ったので、その打ち合わせも。これはちょっとすごく面白くなりそう。時間さえあれば。
 大体上記のことはここ二日で起こった。
 その前の3日間を遊びすぎた報いなんだけど。

 忙しく生きていて、たくさんの仕事をして、本当にやりたいことだけやっていてとても幸せだといわざるを得ないのだけど、どうにもいまいちぴりっとしないなあと思っていたら、足りないのはロボピッチャーだった。
 
 ロボピッチャー。
 僕には彼らが必要だ。
 あんなに素敵な四人組みがいるだろうか。
 僕らはもうすぐ二ヶ月ぶりにステージに立つ。
 左を見たら伊藤君がいて、右を見たらありちゃんがいて、後ろには森さんがいる。
 僕らがひさびさに鳴らす音を浴びることが楽しみでしょうがない。
 照明を浴びて、目の前に僕らの音楽を聴いてくれるお客さんがいて、後ろではギターアンプが微かなノイズを鳴らして待っている。あの瞬間が死ぬほど好きだ。あの瞬間がもう一生で絶対に感じられませんと宣告されたら死ぬと思う。
 やりたい曲が多すぎる。なんでもやりたい。しかも明日の練習には新曲を持っていこう。ユニットのライブが終わった日に書いた曲。
 僕がやったひとつのことが、別の何かにつながってもっと素敵になればいい。
 久しぶりのライブには不安さもある。だから、
「絶対にすごいライブをするから、絶対に来て!」とは僕は今日は書かないことにする。
 それはいつものロボピッチャーみたいにすごいライブではないからだ。不安で、完璧じゃなくて、すさまじく不完全なのだ!
 二ヶ月休んだからこそ、僕の中にはロボピッチャーへの飢餓感みたいなものが生まれていて、初めて音楽に触れたときみたいなわくわく感に今は包まれている。だって、今から6時間後にあるリハーサルが楽しみでしょうがない。
 僕が持っていく新曲を彼らはなんというだろうか。
 僕はきっといつもより上手に歌うだろう。
 丁寧に、饒舌に。
 どんなに抑えたって、僕の歌は深遠な場所に届いてしまう。もう3万年ほど光の届いたことのない深海に棲む生き物にすら。
 僕はそんな情景を思いながら、歌う歌う。
 今頃くじらが巨大なイカと戦っているんだろう。
 喧嘩はやめな。ほら、歌がある。

 まあそんな妄想をなんとか現じたらしめようというライブになると思われます。
 
 絶対にすごいライブになるから、絶対に来てください。
 来ないなんて選択肢がこの世にあるってことが僕にはまったくもって信じられません。

 チケット予約はロボピッチャーHPから。
 http://www.robopitcher.com/

■ 2007/7/20(金) 京都・拾得 
マーガレットズロース「ぼーっとしてYOU GREAT!」ツアー
【出演】マーガレットズロース / ロボピッチャー
【時間】open 17:30 / start 19:00 (出演は1番目、19:00~の予定です)
【料金】前売 \2,000 / 当日 \2,500 (いずれも+drink)
【info】 拾得 http://www2.odn.ne.jp/jittoku/index.htm
 
■ 2007/7/22(日) 京都・CLUB METRO 

【出演】カジヒデキ (acoustic set) / まつきあゆむ / audio safari /
【出演】ゆーきゃんwith his best friends / ロボピッチャー
【@@】DJ (BGM SELECTER):
【@@】小山内信介 (SECOND ROYAL RECORDS)
【@@】田中亮太 (mogran' bar / CLUB SNOOZER)
【@@】MC:土龍
【時間】open / start 18:00 (LIVE END 22:30 / PARTY CLOSE 24:00)
     (出演は4番目、20:45~の予定です)
【料金】前売 \2,200 / 当日 \2,500 (いずれも+drink)
【info】 CLUB METRO 075-752-4765 http://www.metro.ne.jp/

kato takao** 19/7/2007 木曜日 06:29 | Link | TB (0) | コメント(0)
2007年07月16日
日曜日のビール

 今日は昼間から、ヨーロッパ企画のみんなと飲む。
 バックトゥー2000シリーズの打ち上げらしいけれど、そんな趣旨は一切説明されず、「みんなで飲むから日曜日の昼間に来てよ」といわれ行ってみたら、2ヶ月以上続いた3つ連続公演の大事な打ち上げだったので、少しだけ恐縮した。
 12時に着いて、19時くらいまでうだうだとしていたので、上田誠に「今日ってものすごくがっつりオフなんですね」といわれた。まあ実際そうなんだけど、僕みたいな立場の人間がそういわれるとなんだか不安になる。がっつりオフってなんだか人を不安にさせるぜ。仕事がたまってるのにやらないのか、仕事自体がないのかどどっちかだもんな。ひとまず今日は前者。原稿をお待ちの皆様、もう少々お待ちくださいませ。

 で、その後、新風館まで歩いていって、アルファーステーションのイベントを見る。
 いくつかの歌が流れていて、流れていった。
 あれは何処かに届いたんだろうか。
 
 いろんな企画がまた動き出そうとしてる。
 これ以上動かしてどうするんだろう。っつうか止まってる企画もあるがそれはどうするんだ。
 とにかく全部動かして、自分もどんどん動いていって、流れて流れてどっかに行き着いて、その場所でまたなんかすりゃいいのだ。たぶん。
 地球だって回ってるくらいだから、俺だってもうちょっと回ってもいいだろう。たぶん。

 先日行われた加藤隆生プラス(仮)のファーストライブはなかなかよろしかったのではないかと思われます。
 現時点で見せられるものは見せたと思う。
 点は打った。
 次はあれを自分達のものにしなくてはならない。
 まだ、何処かから僕らにたどり着いた音を出してるだけだ。
 これをまず僕らの音にしよう。
 それからそれを人にまっすぐ伝えたらいい。
 それでやっと、僕らとお客さんがつながるはずだ。
 今はまだ、とてもよい音が出ているだけだ。
 
「かくれんぼのハラッパ」という曲を僕は昔からずーーーっとソロの一曲目に歌ってきたのだけど、その曲がこのユニットでものすごくかっこいいのでうれしい。ユニットになることで歌い方もすっかり変わってしまって、そういうのもマジックだと思う。
 結局俺は一人でこつこつ何かを創ることなんて出来ない人間なのだ。
 誰かと、誰かの勢いとともになんかを作ってるのが好きなんだな。
 
 一緒にライブをやってくれた松尾ズに感謝を。
 もっともっとよくせなあかん。

 そして!
 ロボピッチャーもやっと、やっと!動き出します。ばーっとやりますよ。
 今週は2本のライブ。
 両方来てくれなきゃ嫌!
 一応今考えてるのは20日に曲の前半をやって、22日に曲の後半をやるっていう二日こないと曲が全部聴けねえっていうアイデアを考えてみたけれど、さすがにそれはネタとはいえミュージシャンが考えちゃいけないことのような気がしてきたので、やめる。まあ二日とも来たら、きっとありちゃんがいつもより3割り増しの笑顔をくれるはず。なんなら森さんとかがなにやら思わせぶりに優しいとかそういうこともあるんじゃなかろうか。いやあ、恋のチャンスはどこにあるかわかりませんからな!

■ 2007/7/20(金) 京都・拾得 
マーガレットズロース「ぼーっとしてYOU GREAT!」ツアー
【出演】マーガレットズロース / ロボピッチャー
【時間】open 17:30 / start 19:00
【料金】前売 \2,000 / 当日 \2,500 (いずれも+drink)
【info】 拾得 http://www2.odn.ne.jp/jittoku/index.htm
 
■ 2007/7/22(日) 京都・CLUB METRO 
 
【出演】カジヒデキ (acoustic set) / まつきあゆむ / audio safari /
【出演】ゆーきゃんwith his best friends / ロボピッチャー
【@@】DJ (BGM SELECTER):
【@@】小山内信介 (SECOND ROYAL RECORDS)
【@@】田中亮太 (mogran' bar / CLUB SNOOZER)
【@@】MC:土龍
【時間】open / start 18:00 (LIVE END 22:30 / PARTY CLOSE 24:00)
【料金】前売 \2,200 / 当日 \2,500 (いずれも+drink)
【info】 CLUB METRO 075-752-4765 http://www.metro.ne.jp/ 


 うむ。
 これを機にこの日記を読むだけ読んでライブに来ない人々はライブに来てみてください。
 この日記はミュージシャンが書いている日記なので、本質的には「僕の音楽をある程度知っている人」に向けて書いている気がする。この日記のみのファンという方も割りとおられますが、ここはひとつどーんと夏への扉を開けるつもりで、ライブにお越しくださいませ。
 そしたら、「SM嬢は本当に死んだんですか?」っていう質問もしなくて済むと思う。
 
 いや。
 別に、音楽を聴いても聴かなくてもSM嬢が死んだかどうかはわからん。俺すら彼女の死がほんとか嘘かわからなくなるほどだから、きっとまああいまいな感じなんだろう。
 ただ、僕ははっきりと、彼女の匂いを覚えている。

 

kato takao** 16/7/2007 月曜日 05:43 | Link | TB (0) | コメント(0)
nitiyoubino
kato takao** 16/7/2007 月曜日 05:20 | Link | TB (0) | コメント(0)
2007年07月12日
リアル脱出ゲームと新ユニット

 7/7のSCRAP三周年記念イベント「謎解きの宴」にお越しいただいた皆様ありがとうございました。

 自分でもびっくりするくらい画期的なイベントだったと思います。
 本を読んで謎を解くのではなく、ゲームで遊んで謎を解くのではなく、自分の身体を使って謎を解くってのはこんなに楽しいのかと衝撃的でした。
 物語の中に自分が入っていけるという喜びです。
 もう生まれてきた喜びにすらにておりました。

 さて、明日は僕の新アコースティックユニットのライブです。
 ピアノと、バイオリンと僕です。美男美女ユニットです。つまりビジュアル系です。僕を筆頭に。
 新曲もいくつか書き下ろしました。
 今最後の練習を終えたのですが、確信しました。このユニットはかなりいいです。
 ビートや派手なアレンジはない代わりに、歌や言葉にこもっているものが、深く聞く人に届く気がします。
 僕自身も歌っていてスムーズに曲に入っていけます。
 そして、あらゆるバンド、ユニットにファーストライブは一度しかありません。
 明日がその日です。
 これを見逃したらファーストライブは二度とやってこないのです。
 ぜひぜひお越しくださいませ。
 台風なんかなんだ!

加藤新ユニット「加藤隆生プラス」初ライブ!!
■ 2007/7/13(金) 京都・NEGAPOSI

 

【出演】プラスティックモード / アカネイロヒキ / 加藤隆生プラス
【時間】オープン18:00 スタート19:00
【料金】前売 \1,000 / 当日 \1,500 (いずれも+drink)
【info】 ネガポジ http://web.kyoto-inet.or.jp/people/negaposi/


予約は明日の午前中くらいまで下記hpにて受付しておりまする。
http://www.robopitcher.com/live/live.html

 ではよろしくお願いします。

kato takao** 12/7/2007 木曜日 23:57 | Link | TB (0) |
2007年07月02日
あるSM嬢のみだらな死

 彼女が死んでしまったというニュースを聞いたのはいつだったか。
 数ヶ月前だと思う。
 別に聞いたときに何も思わなかったし、哀しくすらなかった。僕はそれをただの事実として受け止め、それ以上の感情は動かなかった。

「彼女死んだらしいよ」と友人はいった。
「へえ」と僕はいった。もうずいぶんとビールを飲んでいた。飲み始めて数時間が経っていた。真夜中よりも夜明けに近い時間帯。
「お前仲良かったよな」
「うん」と僕は言う。確かに僕らは仲が良かった時期があった。
「最近連絡とってた?」
「いや。もう5年以上会ってない」
 僕は彼女がある特殊な職業に就いて以来会っていない。その職業が会うことの支障にならなかったといえば嘘になる。わざわざ、昔仲の良かったSM嬢に連絡するってのは、いささか勇気のいる行為だ。
「どうやって知ったの?彼女の死を」と僕は聞く。
「みんな知ってるよ。大騒ぎといってもいい。彼女が個人的に抱えていた顧客もいたらしくて、そのリストが見つかったとか、見つかりそうとかで、彼女に関わっていた人間は大騒ぎだよほんとに。」
「ふうん」
「お前が知らなかったとは意外だったな」
「多分彼女も俺を避けてたからね」
「ふーん。なんで?」
「さあ。しんどいんだろ、俺と話すと。見なくていいものを見ちゃうってよく彼女は言ってた」
「ははは」と友人は笑う。「見なくていいものを見ちゃうのがしんどけりゃお前とは会わないほうがいいな」
 ふふふ、と僕も笑ってみる。でもちょっと傷ついている。
「どんな死に方だったのかな」と僕。
「さあな。まあまともな死に方じゃないだろ」
「まともな死に方?」少しだけ指が震えた。
「そんな顔するなよ。まあ一般的な死に方ってことさ。病院のベッドで家族に見守られながら死にそうにない女だったからね」
「死んじゃったらおんなじだ」
「うい。死は平等だ。どうせみんな死ぬ。つまりみんな平等だ」
 彼の目が少し細くなる。指をこめかみに当てる。少しだけ偽悪的な物言いになる。
「自殺かな」と僕は言う。
「そうかもしれん。でもわからん。なぜ死んだかは誰も知らない。話題になってない。それよりも彼女の死が残されたものに与える影響の方がずっとトピックスがあるんだよ」
「自殺かもしれないね」
「そうだね」
「自殺じゃなかったら事故かな」
「そうかもね」
「病気だったらなんかいやだな」
彼はくすくす笑いながら「わかるよ。病気で死んで欲しくないタイプの女だったな。もっと劇的に、文学的に死んで欲しいような」という。
 僕はそれには応えない。
 彼女はSでもMでも出来ると言っていた。祇園でホステスをしながら、セクシャルな店でも働いていた。週に3日はホステス。週に3日はSMクラブ。残りの一日の内の3割くらいを僕と過ごした。
「人間には必ず二面性があるの」と彼女は言った。「表の顔と裏の顔、暴力性と平和性、男性的であり女性的である人。」
 誰にでも1つの特性と正反対の特性があり、その両方を持ち合わせている特性こそがその人間の本質なのだという。
「それがわたしはサドとマゾなの。」と彼女は少しだけ笑っていった。安い居酒屋。焼酎のお湯割り。二杯目なのにもう目がとろんとしている
「僕はなんなんだろう」
「あなたの二面性は、明らかよ」彼女は割り箸で焼酎に入った梅干をつつきながらいう。「社交的な引きこもり」
 あっはっはって二人で笑って、僕は昨日のプレイで傷だらけだという彼女の背中を叩いた。痛い!と彼女は叫ぶ。君が言い当てたその本質は、これからの僕をきっと変えていくだろうよ。

 半年前に死んだSM嬢を思い出している。
 彼女は僕を何度かやんわりと誘ったが、僕はやんわりと断った。
 SとかMとかに踏み出すには社交的過ぎるんだよ、と僕が言うと彼女は「目の前にあるクリエイティブの種を掴めないなんて、たいしたミュージシャンになれないわよ」といった。確かに僕はSMに関する曲は創れない。チャンスを逃してしまった。

 最後に会った時に彼女はすごく酔っていて、すごく泣いて、すごくいやなことをたくさんいった。
 僕もいやなことを言い返した。
 最後のセリフだけ覚えてる。
「あなたがわたしに言ったひどい言葉だけ覚えてる。あなたはわたしに見なくていいものばかり見せるの」
 勝手にしろ、と思って僕はきびすを返した。
 それが最後の風景。彼女はその後も叩かれ、縛られ、その他さまざまな方法で辱められた。そしてそれと同じくらいの回数辱めたんだろう。

「自殺かな」とまた僕は言う。
「わからんよ。うるさいな」と友人はいう。ちゃんとつきあっていう。
「わからんよな。事故か自殺かな」うん。病気じゃないような気がするんだよなー。やっぱり。
「殺されたのかもよ」
「殺人事件か」びっくりして僕はいう。その線は考えてなかった。
「いや、自殺、事故、病気のほかに可能性ないかなあと考えたら、犯罪が残ってたから」
 なるほどね。といいながら、なんだか僕はそれが一番しっくり来るような気がしてくる。
 彼女の細い首を誰かがそっと絞めたのだ。
 まるである種の性的なプレイの一環のように。
 でも確かな殺意で。
 破滅的な快楽とともに。
 
「ねえ」と僕は彼女に聞いてみたことがある。「普通のセックスはしないの?」
 彼女は応えた。「普通って何?」
 そういえば僕は、どのセックスが普通でどのセックスが異常かを説明できない。

 彼女は数ヶ月前に死んだ。
 理由はわからない。

 ぐびりとのどでビールが鳴った。
「なあお前。あいつとセックスしたことあるの?」と友人は酔眼でいった。
「ないよ」と僕は即答した。早すぎたかな、と思った。
「そうか」と彼は言う。その返事も不自然に早かった。
 僕らはビールの泡を眺めながら、あるSM嬢のみだらな死を思った。

 そのことを数ヶ月ぶりに思い出した。さっき。
 たぶん僕は彼女のことが好きだった。
 でもそのことにそのとき気づかなかったから、
 僕はSMの曲が書けない。
 ここでSMのシーンを描写することも出来ない。
 もちろん「ふつうのセックス」の曲だって書いたことないんだけど。

kato takao** 02/7/2007 月曜日 04:41 | Link | TB (0) | コメント(0)
2007年07月01日
音楽を

 一度眠ったけれど目が覚めてしまった。

 ギターをぽろりと鳴らしたら曲が出来た。
 とてもかわいらしくて、すこしかなしい曲。

 後3ヶ月ほどで33歳になる。
 ふと、10年後にも音楽をやっているだろうかと考えてみた。

 40代になっても音楽をやっている人は本当に一握りだ。
 ましてや京都のライブハウスとかで音楽を続けている40代ってほとんど知らない。
 今後何かの拍子にどかーんと僕の音楽が売れて、日本中の人が僕のメロディーと歌詞を知ることになったら、10年後にも音楽をやっている可能性は高まるだろうか。
 そんなの関係ないのかな。

 続けるってのにどれだけの体力が必要かを知っている。
 息をするのと同じくらい大変だ。
 やめようと思ったことは一度もないけれど、いつかふと息をするのをやめるように、音楽をやめてしまうかもしれない。
 それはきっと僕の意思ではなくて、もっと他の圧倒的な力でねじ伏せられるように僕は音楽をやめるんだろう。
 
 まあ、やめる時の事を考えてもしょうがない。
 今は少しでもたくさんの歓喜の瞬間を積み上げよう。

 たぶん、10年経ってもなにかつくっていると思う。
 変なイベントをプロデュースしたり、変な雑誌をつくったり。その他いろいろ。

 さっきコンビニにビールを買いに行ったら、道端で立ちションしている若者がいた。
 じょぼじょぼと音を立てて小便をする彼を見て、それはそれで1つの表現なんだろうかと思った。
 生きている音を奏でる青年。午前3時の烏丸通り。
 なかなかいい演奏だったよ。
 まだ少し、リズムに深みが足りなかったけれどね。

kato takao** 01/7/2007 日曜日 05:04 | Link | TB (0) | コメント(0)

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