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2017年12月13日

東京ミステリーサーカスを創ろうと思ったもう一つの理由は、もっとみんなが夢中になれる場所がないといけないと思ったからだ。

もちろん、僕らはこれまでもヒミツキチオブスクラップや、アジトオブスクラップなどの場所をたくさん作ってきた。そこでたくさんのリアル脱出ゲームを公演してきた。
でも、リアル脱出ゲームは宿命的に一度しか遊べない。たとえ「君は明日と消えていった」のみずきのことが大好きだと思っても、もう会えない。一度しか会うことができない。もちろん、ヒミツキチラボにはまた行くことができる。でも、行けるのは「君は明日と消えていった」が終了した後だ。みずきにはもう会えない。

テレビゲームや、映画や、マンガや、小説や、演劇や、音楽や、遊園地やミュージカルなどほとんどすべてのエンターテインメントジャンルは「何度も繰り返し同じ触れることができる」。当たり前のことだ。
でも、リアル脱出ゲームではその当たり前のことができない。

そのことはずっと僕らを悩ませていて、その一つの解決策として「謎ビル」という概念を作った。
一つのアジトを体験してもらって、もし好きだったら、すぐにその隣のアジトに行ける。
もしあなたがリアル脱出ゲームを好きになってくれたら、すぐ隣の別のリアル脱出ゲームを遊べる。

でも、それでは、リアル脱出ゲームというフォーマットへの理解は深まるものの、「君は明日と消えていった」という世界観への愛を示すことはできないし、みずきというキャラクターとの親愛を深めることもできない。
僕らは「スラムダンクの流川」とか「ワンピースのゾロ」とかを愛して、その集合体としての「マンガ」も好きにはなるけれど、「マンガが好きだから流川やゾロを好きになる」わけではない。
僕らは、10年かけてリアル脱出ゲームというフォーマットを好きになってもらうことにはうっすら成功してきたけれど、リアル脱出ゲームというフォーマットのソフトの世界観やキャラクターを好きになってもらうことには成功しなかった。
成功したとしても単発で、短期間なものになってしまった。

だから、僕は、何度も足を運べて、足を運ぶたびに新たな発見があって、物語の深い部分を少しずつ知ることができて、その物語の断片がさまざまな場所で結びつき、大きな一つの物語を形作るような場所が必要だと思っていた。
もし、僕らが作ったものを好きになってくれたなら、もっと好きになるための仕組みがある場所を作りたかった。
もしみずきを好きになってくれたなら、なんども繰り返し会えるような場所を作りたかった。
ちゃんとそこに愛があるなら、その愛の発露となる場所を創らなくちゃいけないと思っていた。

その場所が東京ミステリーサーカスです。
正直に言うと、今東京ミステリーサーカスにあるゲームがすべて有機的につながっているわけではない。
これまで通りの独立したリアル脱出ゲームもある。
でも、少なくともリアル捜査ゲームは、一日だけですべての事件を解決することは絶対にできないボリュームだし、独立したリアル脱出ゲームから派生したゲームやグッズなどもふんだんにある。
さらにいうなら、東京ミステリーサーカス自体に隠された大きな物語もこれからきっと生まれていくはずだ。

ディズニーランドが素晴らしいのは、愛されているのはアトラクションではなくて、その入れ物である「ディズニーランド自体」なんですね。だから、その中でさまざまな実験をしてもぶれることなく愛される。
世界中のテーマパークがディズニーランドを目指して失敗してきたのだと思うので、僕らもただやみくもにディズニーを目指すわけではないけれど、「愛される器」を創ることは目標としてやっていきたいと思います。

あと六日でオープンです。
絶対に前売りでチケットを争奪しなくちゃ入れない建物ではなく、ふらっと食事のついでとか、飲んだ帰りとかにも寄れるような場所を目指しました。
もちろん慎重なあなたのためにチケット予約のシステムも完備していますが、まあ、基本的にはふらっときて楽しめる場所です。

死にものぐるいでつくったけれど、ふらっと半笑いで遊びに来てくださいませ。
つまらなかったら叩いて、おもしろかったら褒めてください。
僕らはどちらも受け止めたり、するりとかわしたりしながら、しなやかに変わり続けていくつもりです。

では、東京ミステリーサーカスでお会いしましょう。
https://mysterycircus.jp/

Posted by kato takao at 2017年12月13日 19:49 | TrackBack
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