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2004年10月25日

 久しぶりです。お元気ですか。
 ずいぶんと心配かけたみたいですが、僕はようやく元気です。ずっと続いていた咳もおさまって、なんとなく人間らしい顔色になってきました。

 なぜか僕にはボロフェスタの記憶があまりなくて、ボロフェスタの翌日、片づけが終わった後に西部講堂の前の広場で焚火をしながら、バーベキューをやった記憶のほうが強い。
 僕は火を見つめながら、久しぶりのビールを飲んで、なぜか2本目の途中で立っていられないほど酔っ払って、西部講堂の事務所で一人で横になっていました。
 身体は憔悴していたけど、眠くもならず、外では、ボロフェスタを手伝っていただいたみんなの楽しそうな声が響いていました。
 なんでだかわからないけど、とにかく僕は静かな気持ちで、終わってしまったフェスティバルのことを思っていました。どんな風に思ったのかは覚えていない。ただ、あの時僕は西部の事務所で、ボロフェスタの三日間を思い出していたことは覚えてる。
 また終わってしまったなあ、と思った。
 はじまってもはじまっても終わってしまいます。いつになったら終わらないフェスティバルが始まるのだろう。
 
Limited Express(has gone?)の飯田君が来て少ししゃべりました。何をしゃべったのか覚えてない。そのあと、ゆーきゃんと、土龍君も来て、「この4人でボロフェスタは始めたんだったなあ」とかそんな話をした気がする。この4人で、三条河原町のスターバックスで、何回も話し合いをしました。たくさんのことを決めたし、たくさんの問題点が出てきた。スタート地点は0みたいなところで、なんにもなかった。そこから、少しずついろんなものを積み上げて、必死に3年以上かけてここまできて、なんで四人でしんみりと事務所でソファーに座っていたんだろうね。

 少し休んで、また広場に戻ると、もう何人かは帰った後でした。
 僕は焚き火をまた眺めながら、ビールを飲んで、ビールを飲んで、ビールを飲んで、今度はどれだけ飲んでも酔わなくて困った。
 ずいぶんと騒いでる人がいて、卑屈になってる人がいて、こっそりと愛を育んじゃってる人もいて、哀しがってる人がいて、笑っていて、泣いていて、いぶかっていて、打ち合わせが始まっていて、来年のブッキングをしてる人もいて、僕は少しだけみんなから離れた気分で立っていて、一人一人と帰っていくのを見送って寂しくなって、でも火が消えないように祈ったり、僕の体が明日からも続く過酷スケジュールに耐えられるように祈ったり、この場所にいる人たちや、ボロフェスタにきてくれた人たちや、それ以外のすべての人たちのささやかな幸せを祈りたいような気分にもなった。
 空が少しだけ明るくなってきたときに、もう帰らなくてはと思った。僕は次の日にやらなくてはならない仕事があって、フェスティバルはもう終わったのだ。もう僕はのどを気遣って話す必要はないし、今タイムテーブルより何分押していて、何分まいているかを心配する必要はない。
 でも、僕は帰らなくちゃと思ってから、数十分その場にいたと思う。一人一人に挨拶をして、みんながぼろぼろの顔をしていて、でも、だからこそかっこよかった。僕も、かっこよくなりたくて、みんなの仲間にはいりたかったけど、よく考えたら僕は限りなく中心人物に近くて、これ以上仲間にはなれない。いったい僕は何を求めていて、どうなったら幸せなんだろう、とか思ったような思ってなかったような。

 で、とにかく帰った。帰るタイミングについてはまったく覚えてない。それからしばらくの記憶もない。ただただ、SCRAPの締め切りに追われていた。僕は原稿を書いて、書けなくて悩んで、でも書いて、打ち合わせをして、書いて、書き直して、見直して、また書き直して、書けなくて困って、でも何とか書いて、書き直して、またもやみんなに迷惑をかけた。
 ボロフェスタに関するその後の財務的な処理や、事務的なこともずいぶん時間がかかった。たくさんの些細なことがまだ残っていて、僕はその一つ一つをやることがひどく苦痛だった。
 でも、それはボロフェスタが本当にあった証拠で、苦痛の中にあるリアリティみたいだった。よくわからないかもしれないけど、ボロフェスタのもつあまりにピュアなエネルギーは、実生活に戻るときにとんでもないパワーを要求するのです。
 ロボピッチャーのミーティングもして、バンドとしての次の一歩も決まった。後は踏み出すだけだ。ボロフェスタ以来、ロボピッチャーというバンドのことを思うと、泣きたくなる。泣かないけど。このすばらしさを何に例えたらいいのか。いや、例えようがない。
 彼らがここにいること、彼らと音楽をやっていること、彼らが音楽をやっていること、彼らがボロフェスタを手伝ってくれたこと、そして、そのクオリティーがとてつもなく高かったこと。それはあらためてここに記しておきたい。
 ロボピッチャーの次の一歩が決まったのなら、僕らはかならず踏み出して、成功するだろう。その能力と資格が僕らにはある。かならずハッピーエンドになると決められた、子供用の映画みたいなもんさ。

 で、あまりにも、あまりにもいそがしくて長いこと会えなかった人に会った。
 そばを食べたり、寿司を食べたり、カレーを食べたり、買い物をしたり、コーヒーを飲みながら話をしたり、一緒に仕事をしたりした。何冊かの本を買って、読み終わったら貸しあう約束をして、CD屋さんをのぞきに行って、会わなかった時間にお互いが何をしていたのかを話しました。

 そして、僕は、また、ギターをひいて、曲を作っている。
 あいかわらずここだ。どこにいったって、結局ここで僕はビールを呑みながら、ギターを弾いて、歌を作るんだろう。そして、それは、奇跡みたいにすばらしい歌だ。世界中で奇跡を起こしているらしい宗教家が裸足で逃げ出すようなすさまじさだ。ありがとう。僕はまだここにいます。

 後は、ありちゃんと爆笑の電話をしたり、伊藤君とラジオの収録に行ったり、崇さんは忙しくて大変そうだなあと思ったり、母親が入院したので見舞いに行ったり、クラブのイベントに行ったり、ライブを見に行ったり、プレゼンをしたり、ロボピッチャーの「透明ランナー」を聞き返したり、台風の中PVの撮影をしたり、次のイベントのことを考えたり、部屋の電気を買いに行ったり、寺島さんに借りた「カムイ伝」を読んだり、ゲームをしたり、次のSCRAPについて考えたり、着物について思ったり、ふらっと入った仕事を断ったり、受け入れたり、電話したり、流れていく時間の無常について考えたりしてました。

 ありがとう、なんてもういわなくてもいいですか?
 伝わってなきゃ嘘だ。だって、こんなにありがとうと思いながら生きてるもん。

 ボロフェスタが終わって、ロボピッチャーの本当の活動が始まります。来月には新しいCDが発売されます。
 そのすばらしさといったら!
 そして、それに付随するライブツアー。とてもたくさん僕らはライブをします。とてもたくさん見に来てください。
 ボロフェスタっていう大きな花火が打ちあがって、それで終わりじゃボロフェスタの意味がないです。こっからが本番です。

 それじゃ、また近いうちにお会いしましょう。
 お元気で。
 さようなら。
 ありがとう。

Posted by kato takao at 2004年10月25日 07:04 | TrackBack
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