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2002年07月09日


 例えば、僕の作る曲がすばらしいと仮定して。もちろんその最低限の仮定すら時に揺らぐような日々ではあるのだけど、とにかく、僕の作る曲はすばらしいのだと仮定した上で。
 いったいそれがなんだというのだろうと、僕が思ってしまった場合。いったい何が僕を救えるのだろうね。

 僕の中には、一般論に満ち溢れた泉があって、そこはわりと精密な一般論で満たされているので、時に僕は世の中の善悪についてとか、この世の成り立ちにおける意味付けなどについて、なかなか適切な考察を行う事ができるのだけど、そのことすら、ただの机上の空論で(もちろんそうであるに決まっているのだが)僕の体にはほんの一滴もこの場所を正当化する理由がないと、きっぱり思ってしまった場合、これまで僕が作ってきた曲などはいったいなんだったんだろう。

 僕はクーラーをつけないでベッドに横になっています。
 電話が鳴る。
 もしもし。
 もしもし。
 相手が名乗り、話し出す。
 僕はものすごくいやな予感がするので、いちど電話を切ります。
 でももちろんその後僕らは話をして、僕はさっきの予感が的中した事を知る。
 とにかく汗が出てしょうがない。
 ベッドについたしみが、魚の形になれば良いのにな、と僕は思っている。

 歯車がずれたって?
 知っていた。
 でも、それは、今ずれた訳じゃない。
 ずっと前から、どうしようもなくずれていた。
 そうだ、ちょうど、歯車のくせに歯車が「自分は社会の歯車になるのはいやだ」って言いだした辺りからだ。
 あのときはみんなで腹を抱えて笑ったけど、本気だったなんてほんとにおかしいよね。
 
 うまく言えないのだけど、、、いえ、ちがう、とてもうまく言えている。
 つまりこれはメタファーではなく、まさにこのように時間が流れているのです。僕の中を、ここの言葉の通り、リズムも、文体を、言葉も、すべてがすべてを言い当てている。そして言い漏らした事などなにひとつないのです。
 僕の言葉が僕の時間を言い当てているのか、僕の時間を僕の言葉にあてはめているのか。

 あのときはみんなで腹を抱えて笑ったけど、もう、笑い事じゃないですよね。

Posted by kato takao at 2002年07月09日 23:25 | TrackBack
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