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2001年09月17日


 友人とお酒を飲んだ。とにかくお酒だ。あんまりたくさん飲んでいるので、最近は飲むと体にぼつぼつが出来る。
 ぼつぼつが出来ると、ちょっと苦しい。誰かが僕のために悲鳴を上げているのだ。ごめん。
 でも大丈夫。ぼつぼつはそのうち消える。
 で、また僕はビールの栓をあける。

 東京から帰ってきて、たくさんの人達と会って、また飲んだ。僕は小さい声で話す。そんなにたくさんの人に聞いて欲しい話を僕はもってない。

 もう、前みたいに傷ついたりしないのです。前みたいにふわつかないのです。ステージの上で泣いたりなんかもうしないよ。
 強くなったのだ、と言ってみて、ややうすらさむい気になる。
 何かが僕からぽとりと落ちて、地面に染み込んで、別の何かになるのかもしれない。

 いっそ、人が死んで哀しいという感情も麻痺してしまえばいい。

 テレビで、映画みたいな映像を見る。それで気持ちがぷつんと途切れる。何も考えられない。
 でも、それが一番卑怯でつまらないことだ。せめて哀しみを抱えて、生き延びる。生まれながらにしみついた、哀しみを糧に。
 どうだ。

Posted by kato takao at 2001年09月17日 02:40 | TrackBack
みんなのコメント

やっと探し当てました。

私の心を一年半ほど前に揺さぶったのは、この文章です。

9.11のテロの含みが、私の注意を惹いたわけではなく。

虚無的な自己の喪失感。

私はその喪失感さえ失っていたのです。

それが喚起されてしまった。

強くなるとはどういうことなのか。

Posted by: エムロド on 2003年04月07日 18:06

 強くなるとはどういうことか。

 どうということでもないです。

 ただ、便利な言葉ではある。

 この、こっそりとしたあなたの書きこみが、どれほどぼくを力づけたかは、あまりうまく伝える事が出来ないと思う。

 ありがとう。

 わりと深く、そう思っている。

Posted by: かとう on 2003年04月12日 06:33
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